コワーキングスペースでライブラリーを創って運営するまで(その1)
16 4月 2021 - hubkyoto

Impact Hub Kyotoでは2021年の2月から「みんなで創るライブラリー」をテーマにHub Kyoto Open Libraryが誕生しました。

Impact Hub Kyotoとは変化をつくる起業家の世界的コミュニティの京都拠点として、京都・西陣に生まれましたが、設立当初は本棚こそあれど、公共図書館のように不特定多数の人に本の貸し借り機能がありませんでした。そのため、私達はほとんど1から作る必要がありました。

京都・西陣にあるコワーキングスペースがどのようにして、ライブラリーを始めたのか。そして、ほぼ1からライブラリーをどう運営していくのかを考えることになった私達がどのようにして完成させたのかを全2回に分けて公開します。

Hub Kyoto Open Libraryとは

​Hub Kyoto Open Libraryは小さな図書館です。小さいとはいえ、実際の図書館でも導入実績を持つシステムが導入された「本格的」なライブラリーとして誕生しました。

Hub Kyoto Open Libraryはコワーキングスペースの中にあります。この空間ではその機能の全てを誰もが無料で利用することが可能です。

利用者には好きな本について好きなだけ語り合える場が提供され、本という共通の文化を中心に交流が生み出されます。

小さい図書館だからこそユニークな発想によって変化し続ける、いわば「完成しないライブラリー」としての空間がそこにあるのです。

​コワーキングスペースで図書館をつくり始めたきっかけ

きっかけは、2020年秋までImpact Hub Kyotoの本棚を使っていた本屋さんが移転したことでした。本棚は全長7メートル。7メートルといえば、サッカーゴールの幅くらいの大きさです。そのスペースにびっしりと詰め込まれていた本は一気に消えてしまいました。そのとき、「図書館をここにつくったら、会員さんたちにも便利だし、会員じゃない人も使えるようにすれば本好きな人にとっても便利じゃないか?」とスタッフの間から声が生まれ、白羽の矢が私に刺さったというわけでした。

本を通して、会員やそうでない人の交流のきっかけとなる空間づくりは試行錯誤の連続でした。

・・・実際には1月には完成できず、2月まで引っ張ってしまったのですが、実際、この試みには想像よりも多くの落とし穴が隠れていたのです。

​はじまりのエクセルシート

図書館には「本」が必要です。といってもImpact Hub Kyotoには元から多くの本がありました。200、いえ300冊以上もスペースには本が存在していました。

というのも、これまでImpact Hub Kyotoのイベントスペースを利用者から頂いたり購入した本やImpact Hub Kyotoを起ち上げたメンバーが寄贈した本がここにはありました。様々なジャンルのマニアックでユニークな本が立ち並ぶ様は、まるで専門店のような独特なラインナップを形成していていたのです。

私が図書館の発起人として、このプロジェクトを請け負った際に、ある一枚のエクセルを渡されました。そう、それがHub Kyoto Open Libraryで一番最初のブックキュレーション企画「創発するリベラルアーツ」について書かれたエクセルシートでした。

さらに、こうした取り組みに賛同してくださったコワーキングスペースの会員の方から実際に本を置いてみても良いですか?との申し出もあり、本をしっかりと管理する必要性も生まれていました。

今では、本の貸し出しと利用者を一元管理できるシステムを導入していますが、当初はエクセルシートに11冊情報を入力して、本を管理しようと考えていたのです。

当初考えられていた方法としてエクセルのセルにひとつずつ本の名前と著者、本のジャンルを入力していく方法でした。

しかし、この作業は私1人で進めるにはあまりにも煩雑な作業でした。1人では手が足りないと考えた私は、新たにスタッフを1名このプロジェクトに巻き込みました。そして、2人体制で入力作業を開始するも大量の本の山の前に、私達は挫折しました。

​協力者。立ちはだかる壁

本の分類分け作業は本の情報をエクセルで管理する際に最も手間がかかる作業でした。

本といってもジャンルは多岐にわたります。フィクションならミステリーや恋愛小説、冒険活劇やホラーに分類できます。これらを正確に分類し利用できるようにするには、本にかかれている内容に精通している必要があります。

200冊以上もの本を分類する作業は、1人増えたとしても焼け石に水で、到底スケジュールに収まる作業量ではないと思われました。その判断から、私達は即座にエクセルシートを放り投げて、別の方法を模索することにしたわけです。

次回へ続く