AMP第1回地域セッション開催レポート(IH-Kyoto)
27 7月 2021 - hubkyoto

アジア太平洋起業家育成プログラム(AMP)

――インパクトハブ京都が地域セッションを主催

インパクトハブは、世界50以上の国、100以上の都市に拠点を持ち、社会的インパクトをもたらすことを目指す起(企)業家が集まるコーワーキングスペース・コミュニティです。

 その中で、アジア太平洋の10のインパクトハブ(京都、ダッカ、クアラルンプール、上海、台北、プノンペン、マニラ、ワイカト、ジャカルタ、ヤンゴン)が共同して、2021年7月より、起業家育成プログラム“Accelerate Membership”を、Bank of America/Shopifyとの連携で、提供しています。参加起業家は、アジア太平洋10か国で100名を数えます。

プログラムの詳細はこちらから。

地域セッション1
イベントのポスター

第1回地域イベント:危機と不確実性の時代における起(企)業家のリーダーシップとレジリエンス 

プログラムには、様々なコンテンツが盛り込まれていますが、その最初のイベントとして、インパクトハブ京都がウェビナーを7月23日(金・祝)13:30-15:00(日本時間)に主催しました。ゲストスピーカーとして岡田憲夫先生(京都大学名誉教授)をお招きし、”Entrepreneurial Leadership and Resilience in Times of Shock and Uncertainty: With a focus on community-based resilience development”(危機と不確実性の時代における起(企)業家のリーダーシップとレジリエンス:コミュニティに根差したレジリエンスの発展に焦点を当てて)というテーマでご登壇いただきました。

 司会(大和田愛乃:Local Communications Liaison)による岡田先生のご紹介に続き、講演が開始されました。

APACwebinar
司会/ファシリテーターの紹介

岡田先生は、コミュニティにおけるレジリエンスを、いろいろな難儀に直面しても、決してめげず、むしろ新しい状態、構造的変化へと転換する総合的な取り組み力とみなし、そのように戦略的に適応していく力を「ダイナミックなレジリエンス」と説明されました。

そのためのフレームワークとして自然災害、コロナの発生、気候変動などの現象をPersistent Disruptive Stressors(PDSs:続発する、既存の価値を打ち砕くような社会的ストレス)と捉え、それを社会変革、起業活動等の形で「構造的改変」(transformation)へと導く推進力とする、そのような戦略性を持ち実践していくことをポイントに挙げられました。

コミュニティがビジョンの共有、とりわけ、「よりサスティナブルなコミュニティ」というビジョンを絶えず確認しあうコミュニケーションの場(コミュニカティブ・スペース)を持ち続けることが鍵となる、このような切り口で、岡田先生がこれまで実践されてきた主として2つの事例を紹介されました。

結論として、特に外部支援者や内部のリーダーの役割としては、

「コミュニティは社会的イノベーションと起業の源泉となる」

「ダイナミックなレジリエンスとしての人々のキャパシティ(取り組み力)に直目しなければならない」

「小さくはじめ、長期間そこに居続けること」

「社会的イノベーションや起業について語るときには、ダイナミックでシナジーを呼び起こすような参画型のプラットフォームである『コミュニカティブ・スペース』をいかにデザインするかが問われなければならない」

等の諸点にまとめられました。

岡田先生によるご講演の様子

その後、ソンヤ・デール(Sonja DALE:Community Host/Lead)によるファシリテーションで、質疑応答が執り行われました。

①「コミュニティ構築には時間がかかるが、それを加速させるには?」

②「持続的にコミュニティへインパクトをもたらすにはどうすれば良いか?」

などの質問が寄せられました。

岡田先生からは、レジリエントなコミュニティの構築では、「加速」そのものが目的になる必要はない。

むしろ意図した「効果・成果」が上がっているかどうかが肝心である、との指摘がありました。

つまり、

①「まずは小さい規模から始める。やっていることの理由・目標を当事者たちで頻繁に振り返る。やるためにやるのではなく、その意味・目的をしっかり考える。必要に応じて、自分のやり方・やっていることなどを変える」

②「ネットワークが大切。様々なつながりを作ること」

とお答えいただきました。

本セッションは、海外ではworking timeであるにも関わらず、80名以上の参加を得ることができました。「学び多きインサイトフルな機会でした」という感想も届けられ、ウェビナーは盛会のうちに幕を閉じました。