『聞きたい!この人のお話』vol.7 〜 加瀬弘子さん
27 5月 2019 - impact hub kyoto
英会話教室「ROOM English」の加瀬弘子さんは、主に社会人の初心者を対象としたプライベートレッスンを提供するほか、昨年からはスマホアプリを用いた「スマホで音声交換日記」というユニークなサービスも開始。いつもにこやかな加瀬さんに、現在の活動についてお伺いしました。


ROOM Englishを始めたきっかけは?

私自身は小学生から英会話教室に通っていて、中学生になる頃には英語が大好きでした。英語を使う仕事がしたくて、大学を卒業してからは大手の英会話学校や日本の企業で秘書室長をした り、外資系企業で働いたり、ワーキングホリデーでカナダの現地企業など様々な場所で仕事をし てきました。でも、だんだんと会社組織で働くことに疑問を覚えるようになって、2013年に独立してROOM Englishを始めました。

 

生徒さんは何人おられるのですか?

プライベート英会話が20人くらい。昨年から始めた「スマホで音声交換日記」は、今、8人ほどの方が始めています。社会人やシニアの初心者の方が中心ですが、数人、中学生もいます。お店のスタッフの方にレッスンをしたり、TOEICの対策を教えることもあります。

 

グループレッスンはされないのですか?   

やろうかなと考えたことはありますが、基本的にはやっていません。自宅に来ていただいて、1対1でレッスンをしています。その人が知りたいこと、必要なことをするためにも1対1がいいと思っています。ROOM Englishに来る生徒さんは、どちらかというと、英語を話したいけれど苦手意識を持っている方が多いように思います。英語に自信がない初心者の人が上達するには、ドキドキしたり緊張したりしない雰囲気の中で、「できない」とか「恥ずかしい」というマイナスな気持ちを極力取り除く必要があると思うんです。

 

レッスンで大切にされていることは何ですか?

伝わる発音をすること、日本語で複雑に考えてしまっていることを英語で簡単に言う方法、一文を短くすることなどをお伝えしています。そして、生徒さん自身が考えて、自分で答えに気が付くことを大切にしています。答えをわざと言わずにクイズ形式でレッスンをすることもあります。私が教えたいのは、「知足」です。「足るを知る」の気持ちですね。

面白い方針ですね。

英語が苦手と思っている人は、「間違ったら恥ずかしい」、「失礼なことを言ったらどうしよう」という気持ちが強いんです。また、自分の日本語能力と無意識に比較して「できない」と思ってしまうんですね。でも、日本語能力に近づけようと思わないでほしい。ないところから引っ張ろうとするのではなく、今あるものを使えばいいんです。

 

なるほど、自分で壁作っているのかもしれませんね。

 私にもそういう気持ちはあるし、大好きなニューヨークであなたの英語は分からないと言われて落ち込んだ経験もあるので、その気持ちはよく分かります。でも、そう思わないでほしい。私 は4歳から30歳まで大阪に住んでいたのですが、大阪のおばちゃん的にあつかましくなるというか(笑)、「これでいいやん」って思うことって大事だなと。正しい英語を話すことより、その場にいる人と笑い合えることの方が大切だと思います。笑いが大事。それはレッスンの中でも心がけています。 

 

 

 

正しさよりも、楽しさが大事ということですね。

 なかなか自分から外国の方に話しかけられないと言う生徒さんは多いです。そこで、こんなバックを作りました。「英語を勉強してます。私に話しかけてね」と書いてあるんです。これを持って、生徒さんと京都の街を歩いてみるつもりです(笑)。 

 

普通の英会話教室とは、やっぱり少し違いますね(笑)

 英語を話すことで出会いの幅が広がるんです。人生が変わるかもしれない。そういった英語を話すことの楽しさを実感してもらいたいんです。私もそうだったので。

 

 

「スマホで音声交換日記」は、とてもユニークなクラスですね。

LINEで私に毎日2文、ご自分の日記をLINEの音声メッセージで送ってもらいます。それを添削して、私も音声でお送りします。毎日英語に触れて、作文と発音が自然に上達していきます。効果的なノートの取り方もお教えしているんですよ。

スマホを使えれば、いつでもどこでもできるのですか?

アプリでのやりとりなので、ネットさえ繋がればどこでもできます。生徒さんは、週7日、何時に送っていただいても大丈夫です。私からの返事は木曜と日曜はお休みしています。どなたでも大 歓迎ですし無料体験もできます。

 

最後に、ROOM Englishの活動として、これから考えていることを教えてください。

 ROOM Englishの生徒さんを連れて、海外旅行に行きたいです。パッケージ旅行ではなくて、私がガイドをする自由旅行です。現地の人と話す、現地の暮らしを知る、そんな体験を大事にする旅行を企画してみたいです。実現にはなかなか大変なこともあるだろうでしょうけど、いつかはやりたい。

 そして、生徒さんをもっと増やしたいです。いい意味で「英語ってこんなんでいい」と思える人を増やしたいんです(笑)。海外に住んでレッスンを続けることも視野に入れています。音声交換 日記と、テレビ電話でプライベートレッスンを提供して、海外の自由な雰囲気や生活を日本に届け たいです。

 

「できない」ではなくて、「これでいい」と気持ちをポジティブに転換する視点が面白いですね。

 こう言っていますが、実は自分もためらったり、迷ったりする気持ちは強い方です。自分がそうだから生徒さんにも言っているのかもしれません。先日、ある翻訳家さんと飲んでいる席で、「上野千鶴子さんの東大入学式の祝辞が良かった」という話をしたことがきっかけで、上野さんご本人が来られる食事会に誘われたんです。有名な方だし、他の出席者は立派な方々ばかりだし、自分なんて・・・と気おくれして、行くか行かないかかなり迷いました。でも、行って本当に良かった。涙が出るほど感動的な出会いになったんです。

 

自分の中にある「ためらい」を超えたら、そこに素敵な出会いが待っていたんですね。

 自分から一歩先に進むことで、人生が動き出すなと感じました。「自分に知識がないことがバレたら・・・」とか、そんな風にためらう気持ちは、客観的に見たら全然たいしたことじゃないんです。英語が苦手と思っている人、英語で話しかけられないと思っている人にも、そんな風に感じてもらえたら嬉しいです。英語を話すことで、人生が変わることだってあるんですから。間違ってもいいから、英語を話そうという人が増えたら嬉しいですし、そういう人のお手伝いをしたいと思っています。

 

(取材・構成:小島寛大)


ROOM English by Hiroko

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