【開催報告】「レジリエンスダイアローグ 〜この惑星に生きる作法〜」第2回ゲスト:関野吉晴さん
6 2月 2018 - impact hub kyoto

「レジリエンスダイアローグ 〜この惑星に生きる作法〜」

先日、探検家であり、武蔵野美術大学教授である関野吉晴さんをゲスト、進行に「風の旅人」編集長の佐伯剛さんをお迎えして、第2回レジリエンスダイアログ〜この惑星に生きる作法〜」を開催しました。レジリエンスダイアログのレジリエンスとは個人の生存ではなく、全体の生存を意味します。私たちがこの地球に自然と生物が共存して生きていくためにはどうすればいいのか?を探求していきました。

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関野吉晴さんと言えば、アフリカに誕生した人類がユーラシア大陸を通ってアメリカ大陸へと拡散した約5万3千キロの行程(南米最南端からアフリカのタンザニアまで)を自らの脚力と腕力だけをたよりに旅をした「グレートジャーニーの探検家」として知られ、今なお“探検家のレジェンド” として尊敬を集めておられます。

そんな関野さんの人生には一貫したテーマがあります。それは、私たちの文明に対する深い問題意識です。彼が尊敬する人間は、食物や衣服や家など生きていくために必要なものを自ら作り出せる人です。それができれば人間はどんな逆境でも生きられ、人生の充実と幸福を感じることができると言います。それは、昔の人が当たり前に行ってきたことです。

 

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こちらは、ご参加いただいた岩井祐樹さんに寄稿いただきました。

 

関野さんは大学時代に南米大陸を訪れた後、グレートジャーニー(人類が伝わった起源とされるアフリカから南米までのルート)を人力で踏破したことで知られています。現在は玉川浄水の近くに生息するフンコロガシの調査を行っています。

また、テクノロジーが発展する中で叫ばれる「火星移住計画」に対して、「地球永住計画」というテーマを掲げ、いかに地球という惑星が人類の生存にとって奇跡的で、その環境を守ることが大切かを研究しています。

 

「第2回レジリエンスダイアローグ」の場は参加者が事前に関野さんに聞きたい問いを考えて、関野さんに質問する対話の場を設定しています。当日はグレートジャーニーの事や、旅を通して感じた言語の違い、食のことなど色々な質問が交わされました。関野さんは淡々と話していきましたが、どの話も私にとっては現実離れしていて、会場中が関野さんの話を聞き入っていました。

テクノロジーが発展して豊かになってきた現代ですが、私たちの祖先がどんな考えをもって人類の足跡を辿ってきたのか、その足跡を通して現代を見てみると失ったものがたくさんあるのではと思いました。そんな失ったものを欲っしている今だからこそ、古代の人に思いを馳せる旅をしてきた関野さんの話に会場が聞き入っていたのかもしれません。

 

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一つ、印象的だった関野さんの回答をご紹介します。

「人類が陸地を渡るのは理解できるが、なぜわざわざ海を渡ったのか?」という会場からの質問に、関野さんはこんな風に答えました。

陸も海も、未知のところに行くという意味では同じです。それでは、なぜ人類の祖先はアフリカを出る必要があったのか?
はじめは好奇心や向上心だと思っていたが、狩りの出来ない土地へ行くのはとても危ない。つまり、仕方なく行ったんじゃないか? と考えるようになったそうです。
明治時代の日本の移民のように、長男は家を継いで残り、次男は移民として南米や満州などに移民に行ったのではないか?
つまり、「グレートジャーニー」ではなく、「グレートイミグレーション」だったんじゃないか? という仮説が面白かったです。。

 

また、このレジリエンスダイアローグでは、できるだけ一方的に聞くだけの場にならないように、参加者の中から発表者を募っております。

今回は、トークイベントの前に京都北部の山間集落で外国人のインバウンド旅行サービスをされているSATOYAMA DESIGNの中山慶さんにご自身の活動をお話ししていただきました。地域の伝統産業、農業、林業、古民家を宿泊施設として提供するなどニッチな京都の魅力を伝えながら、継続的な地域活性のロールモデルを作っています。社会の問題に取り組んでいる人たちのつながりや知恵を出し合う場を作りたい意図からこの時間が設けられました。次回以降のレジリエンスダイアローグもぜひご参加よろしくお願いします。

 

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