京都らしい伝統技術を使って、いかに革新的な製品を生み出すか?

それには、北海道・旭川の「君の椅子プロジェクト」という大変ユニークな事例にヒントがあるだろうと考え、

2017年4月23日、「君の椅子プロジェクト」発起人である磯田憲一さん(北海道文化財団)と

北欧デザインの第一人者である島崎信さん、デンマーク大使館・投資部の中島健祐さんをお招きして、

その活動から学ぼうというイベントを開催しました。

この「君の椅子プロジェクト」とは、北海道の日本有数の家具の製作技術を誇る旭川の街の潜在力を活かして、

子どもが誕生した時に、地元の家具職人とデザイナーが作ったハンドメイドの椅子を贈ることで、新たな産業と地域の

コミュニティを創出した取り組みです。

 

スクリーンショット 2017-04-19 14.25.44 スクリーンショット 2017-04-18 16.32.03

▲日本の有名なデザイナーと旭川の家具職人が作った、手づくりの椅子

「出生届を届けた親が、小脇に椅子を抱える。隣人が「おめでとう!」と声をかけあう社会を取り戻したかった。」
「これを産業として、地元の名もなき職人にお金が入る仕組みにしようと思った。」
そう語るのは、プロジェクト発起人である磯田さん。

DSC01652

▲1つ1つの椅子の製作ストーリーや、子どもたちのストーリーについて語る磯田さん

この事例の面白さは、感動的なだけではなく、旭川の町が誇る家具製作技術を使って、世界に一つだけの手づくり椅子を作ることで、

「新しい生命」、「新しい市民」の誕生を暖かく見つめ支えあうという、地域のものづくり産業や地域コミュニティ再生の

取り組み事例でもあり、サントリーの地域文化賞を受賞しました。

 

DSC01662

▲左から、磯田さん、島崎さん、中島さん

 

DSC01656

▲3.11に生まれた子どもたちに椅子を届ける取り組み

 

そして、この「君の椅子プロジェクト」は、3.11の東北大震災で生まれた子どもたちや親の心を癒します。

3.11 という未曾有の大震災で、たくさんの方が亡くなりました。
その鎮魂の日に、東北では104人の子どもたちが新たな生命が誕生していました。
磯田さんたちは、その104人を調べ上げ、「希望の椅子」と名付けて手渡しをしました。
「おめでとう。君の居場所はここにあるからね。」と。
「時間が醸し出すことで生まれる価値がある。」
「40年、50年後につながる取り組みでありたい。」
磯田さんや島崎さんから、ものづくり産業の真髄となる哲学を学びました。

DSC01659

▲デンマーク大使館・投資部の中島さんは、デンマークのイノベーションの事例をご紹介いただきました

 

また、デンマーク大使館・投資部の中島さんからは、3000人の小さなデンマークのサムソ島が自然エネルギーで
賄った島を実現した事例をもとに、デンマークという国が育んできたイノベーションが生まれる風土についての考察を語っていただきました。
印象的なこととしては、
  • デンマークでは、利害関係者すべて巻き込む合意形成が行われ、最後の1、2人も説得する
  • 何か1つ物を買うときにも、それが環境にどのように影響を与えるか、という環境知性がある
  • この事業が、世界にどう関わるか、というグローバルな視点がある
  • 小さい村でも、ビジネス視点をもって運営されている
  • デンマークはヨーロッパで一番デジタル化が進んでいる  などでした。

家具関係者、ものづくり関係のプロデューサー、工芸関係などの行政関係者など、20名ほどの方に

参加いただき、講演終了後も、車座になって、熱い議論が交わされていました。

 

DSC01663

 

京都工芸繊維大学の内田哲人さんがコメントを寄せていただきました。

 

ご縁があり、日本の北欧デザインの先駆者でいらっしゃる島崎信さんのコーディネートのもと、北海道”君の椅子 プロジェクト”の磯田憲一さん、デンマーク大使館の中島健祐さんのお話を伺うことができました。

お話を聞きながら、途中辛いことも思い出さなければならず、涙腺がゆるむこともありました。

ですが、以前から興味があったプロジェクトや動向の”今”を知ることができたり、お三方と直接やりとりができたのは非常に良い機会でした。

そして、最後の島崎さんの会場への躊躇のない投げかけをされながらの締めは、とても気持ちが良かったです。

asada

asada

Impact Hub Kyoto の企画づくりと触媒となるコーディネーター。
アニミズムの研究をはじめ、人類の進化や普遍的なもの、社会を良くするためのエコシステムの構築と探究がテーマ。