『聞きたい!この人のお話』 Vol.1 ~ 嘉村賢洲さん
固定概念や様々なノイズを取り除き可能性を引き出すファシリテーターの役割

Sep.8.2015

第一回目を飾るのは、まさにHUBのような「異なる文化・国籍、関心軸のひとたちが有機的につながっていくためのコミュニティ」を運営するには欠かせない、“様々な視点の人々を紡ぎ、挑戦を具体化する専門家”、NPO法人 場とつながりラボhome’s viの代表理事 嘉村賢州さんです!

純粋な願いや潜在的な可能性の顕在化を通じて行動が生まれやすい環境、関係性創出に取り組んでいます

関西圏を中心に、日本全国の様々な企業・行政における新規事業創出や事業支援に携わる嘉村賢州さん。嘉村さんが専門とするのは、人々の関係性の中からそれぞれの目標やプロセスを具体化・顕在化させる“ファシリテーター”という役割。

今回は、なんと年間に150本近く、実に2日に1回のペースで日本中の“人と人”、“組織と組織”の間で多種多様な事業支援に携わる嘉村さんが、現在の活動やHUB というコミュニティに行き着いた経緯、そしてこの先に生み出していきたいことなどについて伺いました。

嘉村:『ファシリテーションのことは、100時間は話せます 笑。
一概にファシリテーションといっても、その活用例は様々で、企業の会議や教育現場、さらには平和交渉や演劇など色々な現場で活用されています。』

現在嘉村さんが代表をつとめるNPO団体”場とつながりラボ home’s vi”は、京都を中心に全国でファシリテーションを行う専門集団。そんな嘉村さんに、活動に込めている想いについて伺うと、

嘉村 賢州 (かむら けんしゅう)
特定非営利活動法人 場とつながりラボhome’s vi 代表

 

京都大学農学部卒業後、人事・給与システムの営業を経験。地域活性のITプロジェクトにより独立行政法人情報処理推進機構「2004年度 未踏ソフトウェア採択事業」に採択。京都でIT企業を立ち上げる。その後、NPOや社会起業の業界に関心を持ち、2008年に特定非営利活動法人 場とつながりラボhome’s viを設立し代表を務める。京都市未来づくり100人委員会の運営事務局長、京都精華大学人文学部非常勤講師などを歴任。

嘉村:『実は僕、もともとコミュニケーションがとても苦手だったんです。そんな自分自身が苦労していたからこそ思うのは、どんなことでも、人ひとりで出来ることには限界があるということです。そして、だからこそ“人と人の関係性”って重要だと思っています。』

『“ファシリテーション”ってわかりやすくいうと、いつの間にか持ってしまった固定概念や様々なノイズを取り除き、人々が本来持っている潜在的な願いや能力、想いや可能性を最大限引き出すプロセスだと思うんです。
僕は、誰であっても一人一人、潜在的に色んな可能性を持っていると思うんです。だからこそちょっとした願いや、放っておけない自分ごとの関心ごとを大切にしてほしいですし、諦めず追求できる日常、そして社会であってほしいと思います。』

『ただ、そういう気持ちや願いって、色んなバイアスや“社会の常識”みたいなもので蓋をされてしまうことも少なくないと思っていて。だからこそ、様々なしがらみを取り除き、純粋な願いや潜在的な可能性を顕在化することを通じて行動が生まれやすい環境、関係性創出に取り組んでいます。』

人それぞれが持つ潜在的な願いの“自動詞的に連なり”がひろがっていくことに貢献したい

大学在学中から環境会議や国際交流、演劇祭など多様な企画設計に取り組んでいたとい嘉村さん。数年間で1000人をこえる人が行き来したシェアハウスの運営などもされていたのだとか。

その後、大手大企業やITベンチャーを経てたどり着いた現在の活動。その先にどんな未来を描いているのでしょうか。

嘉村:『“一人でできる世界より、誰かとともにつくる世界” を大切にしたいという気持ちがあります。

新規事業創出や事業支援に携わっていると、“社会を変える”という言葉をよく耳にします。最近は特に、見たり・聞いたりする機会も増えた気がします。その点、僕は社会を”味わいたい”と思っています。確かに移り変わらざるをえないこともあるとは思いますが、社会は決して欠陥品ではないし、良いところも本当にたくさんある。

簡単に言えてしまうからこそ“何かを変えること自体の目的化”に注意しながら、“変える”“変えられる”という立場の他動詞的な構造ではなく、人それぞれが持つ潜在的な願いの“自動詞的に連なり”がひろがっていくことに貢献したいと思っています。』

今度は自分自身が自分のバイアスを外してこの先を考えられるようになりたい

最後に、様々な国籍・世代、分野の人々が集い、活動をともにするHUBというコミュニティの一人としての声、そして嘉村さん自身の今後の挑戦を伺いました。

嘉村:『HUBというコミュニティでは互いの強みや技術をいかした協働などを通じて、既に様々な活動に取り組む仲間や潜在的な可能性を秘めた仲間との、表面的ではないつながりを手にすることができました。』

そして、今後の挑戦については

嘉村:『実は、これから一年間、これまでの仕事を手放し、世界の各地を巡る修行に突入します。社会に出て今年で10年目になりますが、まさに千本ノックのごとく試行錯誤を繰り返してきて、しばらく前から自分の中に“ある種の慣れ”が生まれていることを感じるようになりました。この先を描くためにも、今度は自分自身が自分のバイアスを外してこの先を考えられるようになりたいと思ったんです。』

『自分が出会った景色や経験からでしか、未来の展望も描けないと思うんです。だからこそ今は、来年以降を決めすぎないようにしています。それでも、リアルに顔を思い浮かべられる人や、その人たちの夢や幸せに寄り添いながら行動していくこと、そして、事業支援などで実践現場に入りつつも全体を俯瞰していくバランス感覚は、今後も絶対忘れないようにしていきます。』
と、まさに挑戦への第一歩を話してくれた嘉村さん。

話の要所をきっちり締めつつ、
『実は英語は全然喋れないんです。世界を巡りながら学ぶので、それが一番の”未知への挑戦”なんです』
と場を和ませながらも未来への展望を話してくださった姿、さすがプロファシリテテーターといった様子でした。
嘉村さんが、これからどんな路を歩み、どんな景色を描いていくのか楽しみですね。

Fin


maruyama
インタビュアー 丸山拓人
コミュニティ・ホスト/ アシスタント・ディレクター
1992年長野県生まれ。大学進学を機に京都・関西から実践的学習機会の創出などに取り組み、『Impact Hub Kyoto』や『RELEASE;』などの活動に参画。社会資本・自然資本の回復や拡がりを促進する様々な事業とユース年代との接点創出や活動参画を支援するほか、広報や編集、企画運営などの立場から幅広く事業やプロジェクトをサポートする日々。

 

一般社団法人オープン・ガーデンインターン,
RELEASE; youth代表, 同志社大学政策学部
Impact Hub Kyoto共同世話人


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これまでがむしゃらに活動し続けた賢州さん。
自分の可能性をさらに広げるために意を決して一年間の休みを決意しました!
そしてその試みを応援する仲間からこんなサイトがたちあがりました。
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http://www.homes-vi.org/賢州休みカンパ/